教えることの難しさを教えてくれた小学1年生のN君へ

教えることの難しさを教えてくれた小学1年生のN君へ

私は、大学時代に、野球を教えるコーチングのアルバイトをしていた。

私は、野球に関して、プロにはなれなかったが、それなりの実績を経験しているので、

自信満々でバイト初日を迎えたのを覚えている。

 

アルバイトの内容を簡単に説明しておくと、

1.生徒にバッティングセンターに来てもらう

2.準備体操,トレーニング

3.バッティングマシーンを使用し、課題を克服する

4.フィールドバックを行う

を月に1回1時間行う。

 

生徒は、小学生1年生から6年生がメインで、中学3年生もいたりした。

 

このアルバイトで私は、

自信満々かつ自分の得意分野の「野球」で全く通用しないという現実に遭遇した。

 

この現実をプレゼントしてくれたのは、
私の一番最初の生徒である、野球を始めたばかりの小学1年生のN君だった。

 

今でも忘れることができない初めての指導は、ほろ苦いものになった。

 

N君のスイングを見て、私は

「トップを下げないでみよっか」と言ったんだ。

(野球の専門用語。野球経験者であれば、通常通じる言葉。)

すると、N君は、

「???こやまコーチ…トップって何?」とポカンとしたんだ。

 

一瞬の沈黙。

N君は、???という困惑した表情を浮かべ、私の目をキョトンと見る。

 

私は、「トップというのはね…」

と説明をしてみた。

 

すると、

「こやまコーチ、どうやったら、できるの?」

(訳:どうやったら、トップを下げないようにできるの?)

とN君は聞く。

 

この質問は3回続き、

私はお手本を見せることにした。

 

さあ、完璧でわかりやすいお手本(?)を見せたから真似してもらおうとする。

すると、

「できないよ?」
「なんで僕はできないの?」

と言い、ワンワン泣き出してしまったのだ。

 

私は、猛省した。

 

もちろん小学生1年生で初心者だとしても、

「野球」という共通言語を持つ私とN君

 

私は、必死に伝えたけど、伝わっていなかったことに気づいた。

 

私は、N君に、

伝えることよりも、伝わることが大事ということを気づかさせてもらったんだ

 

この経験は、私の指導法に劇的な変化をもたらすことになった。

 

私の従来の教え方は、自分勝手、怠慢と言わざるを得ないものだと認識を改めた。

 

思い返して見ると、私は、野球部時代に、後輩にバッティングの指導をするのが好きだった。

当時は、私に教えを乞う後輩もいて、自分が「教える」ことが得意だと思い込んでいたようだ。

もちろん、同じ野球部に所属し、同じ指導者から野球を学んだ環境の上では、

私が後輩に野球を教えることは、力を発揮したのかもしれない。

(実際に、私の指導により試合で結果を出し、感謝された経験が複数回ある)

 

しかし、環境が違うどころか、野球の経験も雲泥の差という状況の中では、

「教える」ことが、「押しつけ」になり兼ねないなと知ることができた。

 

もしかしたら、私がN君に初めてしたのは「教える」より、「押しつけ」に近かったかもしれない。

 

私自身、猛省し、指導メニューを工夫した。

「小学生・指導法・よくわかる」

「コーチング・小学生・理解」

「伝わる・伝える」

様々なワードで検索をした。

 

実際の指導時には、

下半身の力が重要だということを伝えるために、

足に風船を挟んで、バットを振ってもらった。

すると、

「大事なのは足だ」

と伝わるようになった。

 

どうしても、「毎日練習をしないといけない」と思い義務化されると、

モチベーションが下がる。

「練習は楽しいものだ」と思ってもらうために、野球以外のスポーツから知恵を借りた。

 

サッカーボールを使用した時もあれば、バトミントンの羽根を使用した時もあった。

この練習法がN君には肌に合っていた。

 

数ヶ月後、N君のお母さんから、

「古山コーチと一緒に野球をするのが大好きで、食卓で古山コーチの話をしているんですよ。

明日も、古山コーチのボールをホームラン打つんだって(笑)

この前なんか、寝言で、

『やったー。ホームラン打てた』って言ってましたよ」

と琴線に触れる言葉を頂戴した。

 

 

この数ヶ月後、

N君が試合に出るということで、ワクワクドキドキしながら試合に見に行った。

 

 

 

N君が打席に入ると、

息を吸うことを忘れ、固くこぶしを握っていた。

今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

1球もバットを振らずに追い込まれたN君。

最後の最後でバットを振ると、

ボールがセンターに飛んでいった。

N君は、ブカブカで汚れ1つないユニホームで1塁ベースに駆け込んだんだ。

 

1塁ベースから、私に向けられたガッツポーズ。

 

 

N君からは直接、「ありがとう」とは言ってもらったことはなかったけど、

私には十分すぎるくらい伝わったんだ。

 

教えているようで、実は、教えられていたんだね

教えることの難しさを教えてくれた小学生1年生のN君へ

N君のおかげで、ますます野球が好きになったよ。

私自身、教えることが好きだということも気づかせてくれた。

伝えることよりも、伝わることの重要性を教えてくれてありがとう。

 

ヒットを打った日に見せてもらった小さな手には、

固い豆の上に、新しい豆ができていたの気づいていたよ。

私が打たせたヒットじゃない。

N君の努力のヒットだったんだね。

 

いつか東京ドームに、君を応援しに行きます。

 

いつもあなたに支えられています。

…古山有則

 

 

 

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いつもあなたに支えられております。

以上です。

古山有則

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古山有則 koyama akinori

*作家 *軟式野球国体優勝経験ありメンタルトレーナー

*1万冊読了済み読書家

*月5000PVブロガー

「今のために、今までがある」 人生経験、読書経験の集大成を発信中。

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